オヤマボクチ(Synurus pungens)は、日本では、本州、四国、九州の山地に自生しており、標高1000m以上の高山帯に多く見られる植物です。その起源は、中国、朝鮮半島、日本にあるとされています。 学名の「Synurus pungens」は、ギリシャ語の「syn」(共に)と「oura」(尾)を組み合わせた「Synurus」が属名であり、ラテン語で「鋭い」や「刺すような」という意味の「pungens」が種小名となっています。葉の先端が鋭く尖っていることに由来しています。また、山地に生えるボクチ(ボクチャ)という植物に似ていることから日本語名の「オヤマボクチ」と名付けられました。 オヤマボクチ(Synurus pungens)は、日本では、本州、四国、九州の山地に分布し、特に高山帯に多く見られる植物です。日本をはじめとする東アジアの山地に自生しています。 葉は互生し、幅3-10cm、長さ10-30cmの楕円形です。縁には鋸歯があり、葉の表面には毛が密生しているので、触るとざらついた感触があるのが特徴です。 花期は7月~9月で、茎の先端に直径約1cmの黄色い頭花をつけます。頭花は複数が集まって散房状に咲き、花冠は5裂しています。 果実は、表面に細かい毛が生えており、楕円形で、長さ約2mmの痩果です。冠毛によって、風に乗って遠くまで飛んでいきます。
オヤマボクチ(雄山火口)
- 学名
- Synurus pungens
基本情報
- キク 科 Synurus 属 オヤマボクチ(雄山火口) 種
- Asteraceae > Synurus > Synurus pungens
- 92%
- 完成度
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- ハーブ
- 草丈・樹高
- 30cm ~ 60cm
- 花の色
白
- 葉の色
緑
- 開花時期
- 5月
- 日当たり
日向 午前から午後にかけて長時間日光が当たる場所 半日陰 木の木陰、もしくは午前・午後のどちらかが日陰となる場所 日陰 直射日光が当たらない場所
- 耐寒性ゾーン
各植物がどの地域まで冬越し可能なのかを知るための指標です。 各植物のゾーンを知ることで屋根のない地植えで育てた際の耐寒温度を把握できます。 2:-42.7~-40.0 3:-39.9~-34.4 4:-34.3~-28.9 5:-28.8~-23.3 6:-23.2~-17.8 7:-17.7~-12.2 8:-12.1~-6.7 9:-6.6~-1.1 10:-1.0~4.4 11:4.5~10.0
- N/A
- 耐寒性
- 普通
- 耐暑性
- 普通
- 原産地
- 日本
- 成長速度
- 普通
オヤマボクチ(雄山火口) (Synurus pungens)の特徴
概要
花言葉
オヤマボクチ(Synurus pungens)の花言葉は、「清らかな愛」や「純粋な心」です。 オヤマボクチは山地に生息する植物であるため、山の清々しさや高貴さが花言葉に影響していると言われています。また、美しい白い花弁が持つ清楚な印象から連想されるものとも考えられます。
オヤマボクチ(雄山火口) (Synurus pungens)の栽培時期・カレンダー
栽培時期・カレンダー
NO DATA
オヤマボクチ(雄山火口) (Synurus pungens)の育て方
水やり
オヤマボクチ(Synurus pungens)の成長期は、春から夏にかけてで多くの水分が必要となります。この時期は土壌が乾燥しないよう週2〜3回程度水やりを行ってください。 秋から冬にかけては、休眠期に入るため、水分の必要量が減ります。土壌が乾燥した状態を保つためにも、週1回程度の水やりで十分です。 水やりの頻度については、季節や気温によって変わりますが、基本的には土壌が乾燥しない程度に行ってください。昼間の高温時に水やりを行うと、水分が蒸発しやすく、植物に十分な水分が行き渡らないため、朝や夕方に行うと良いでしょう。 水やりの際は、根腐れを防ぐために、鉢底から水が抜けるように注意してください。また、水やりの際には、根元に直接水を与え、葉に水がかからないようにしましょう。これにより、病気の予防や葉焼け防止となります。
土壌・肥料の管理
オヤマボクチ(Synurus pungens)を栽培する際の土壌環境は、pH5.5〜6.5のやや酸性が適しています。また、腐葉土や赤玉土を混ぜることによって、根腐れを防ぎ、健康な成長を促すことが可能です。 肥料に関しては、春から秋にかけては、緩効性の化成肥料を月に1回程度与えることが望ましいです。肥料の量は、1株につき1回あたり5g程度が適量とされています。また、夏場は液体肥料を用いることによって、高温によるストレスを軽減するのも効果的です。 冬期には、腐葉土や堆肥を与えて、栄養分を補給し春に向けての成長をサポートしましょう。
日当たり・気温の管理
オヤマボクチ(Synurus pungens)に最適な栽培温度は、10℃~20℃の範囲で、15℃前後が理想的とされており、特に春と秋の涼しい時期に適しています。 耐寒性に優れ、冬季の寒さに強い一方で、耐暑性はそれほど高くなく、高温多湿な環境には適していません。 寒さに強いとされていますが、冬季には、霜や雪によるダメージを防ぐため、適度な保温対策を行うことが望ましいです。例えば、植物の周囲にマルチング材を敷くことで、地温を保ち、根元を保護することができます。 最適な気温を保つため、直射日光を避け、風通しの良い場所を選ぶことで、高温や湿気を避けるようにしましょう。 オヤマボクチ(Synurus pungens)は、夏越しや冬越しについて特別な対策をしなくても自然と生育します。 夏越しに関しては、適度な水分を保ちつつ、半日陰の場所に植えるか、日陰ネットを使用して直射日光を遮ることで、より元気に育てることもできるでしょう。 冬越しも特別な対策は不要ですが、積雪地域では雪を適度に払ってあげ、雪の重さで、茎や葉にダメージを与えないようにするのがおすすめです。 また、植物の根元に腐葉土や堆肥を敷いておくことで、冬の寒さから根を保護し、春に向けての生育を助けることができます。 オヤマボクチ(Synurus pungens)は、半日陰から日向を好む植物のため、1日当たり4〜6時間程度の日照量が理想とされています。 日差しが強すぎると、葉焼けや葉の枯れが起こることがありますので、特に夏場は日陰を作るか、午後の直射日光を避けるようにしましょう。逆に日光が当たらない場所では、成長が悪くなり、葉の色が悪くなることがあるので注意が必要です。 鉢植えの場合の置き場所は、朝夕の日光が当たる場所が望ましく、東向きや西向きの窓辺が最適でしょう。また、日照量が不足する冬場は、南向きの窓辺に移動させることで、日照不足を補うことができます。
オヤマボクチ(雄山火口) (Synurus pungens)の上級者向け育て方
剪定の方法
オヤマボクチ(Synurus pungens)は、剪定や切り戻しに特別な注意点はありませんが、成長を促進させる点では行うと良いでしょう。 剪定や切り戻しを行う場合、春から初夏にかけてが適しており、この時期に行うことで、新しい芽が出やすくなり、植物の成長が活発になります。 具体的な手順としては、まず枝の先端部分を切り取ります。これにより、植物のエネルギーが下部の枝に集中し、より多くの新芽を出すことが可能です。次に、枯れた枝や病気の枝を取り除きます。これにより、植物全体の健康状態が向上し、成長が促進されます。 剪定や切り戻しを行う際には、清潔な道具を使用し、切り口を滑らかに仕上げることが重要です。
鉢植えの方法
オヤマボクチ(Synurus pungens)の植え付けは、春から初夏にかけてが適しています。種子をまく際には、水はけの良い土壌を選び、日当たりの良い場所に植えると良いでしょう。種子をまいた後、薄く土をかぶせ、適度な水分を保ちながら発芽を待ちます。 植え替えは、成長して根が鉢いっぱいに広がった頃に行うと良いでしょう。新しい鉢に植え替える際には、底石を敷いて水はけを良くし、腐葉土や赤玉土を混ぜた培養土を使用するのがおすすめです。植え替え後は、植物が新しい環境に慣れるように水やりを控えめにして待ちます。 葉や茎を利用する場合は、新しい芽が出てきた時期に摘み取ると良いでしょう。
増やし方
オヤマボクチ(Synurus pungens)の繫殖方法には、株分け、挿し木、葉挿しなどがありますが、最適な方法は株分けです。 株分けの手順は、まず、春または秋に、株の周囲を十分に潅水します。 次に、株を掘り起こし、根を傷つけないように注意しながら、株を2つ以上に分けましょう。分けた株を元の場所や新しい場所に植え付け、十分に水を与えます。 挿し木は、新芽が出た枝を切り取り、水や土に挿して根を出させる方法で、葉挿しは葉を切り取り、土に挿して根を出させる方法です。 挿し木や葉挿しでの繁殖も可能ですが、株分けと比べると成長に時間がかかり、成功率も低いため、最適とは言えません。
病害虫対策
オヤマボクチ(Synurus pungens)は、一般的な植物がかかりやすい病害虫のカビやウイルス、細菌による病気に気を付けましょう。 害虫としては、アブラムシやハダニ、カイガラムシなどが挙げられます。適切な水やりや施肥、適度な日光を確保して、植物の抵抗力を高めることが予防のために重要です。 また、病気にかかった部分をすぐに取り除いたり、害虫を駆除することで、被害を最小限に抑えることができます。害虫駆除には、生物的駆除や化学的駆除がありますが、環境に配慮した方法を選択することが望ましいです。
オヤマボクチ(雄山火口) (Synurus pungens)の分布地図
分布・生息地
オヤマボクチ(雄山火口) (Synurus pungens)の毒性
人や動物への健康効果
- edible
- 不可
- 毒性
- なし
オヤマボクチ(Synurus pungens)は、人体への毒性が報告されていませんが、植物に触れることで皮膚が刺激されることがあるため、取り扱いには注意が必要です。 また、健康に良い影響を与えるとされる成分や効果は特に知られていませんが、民間療法では、その葉を煎じたものが解熱剤や鎮痛剤として利用されていました。ただし、現代の医学的根拠に基づく効果は確認されていないため、自己判断での使用は避けるべきです。
犬や猫への影響
オヤマボクチ(Synurus pungens)は、犬や猫に対して毒性があるという報告はありませんが、植物には種類によっては毒性があるものもありますので、万が一の場合に備えて注意が必要です。栽培する場合は、ペットが誤って食べないように対策を講じることが大切です。 犬や猫がオヤマボクチを誤って食べた場合、特に症状が現れることはないと考えられますが、個体差や摂取量によっては、消化器系の不調やアレルギー反応が起こる可能性があります。犬と猫での影響に差はないと思われますが、それぞれの動物の体質や状態によっては異なる反応があるかもしれません。
オヤマボクチ(雄山火口) (Synurus pungens)のQ&A
- オヤマボクチ(雄山火口)の選び方
オヤマボクチ(Synurus pungens)を選ぶ際は、葉が緑色で艶があり、茎が太くてしっかりしているものを見極めるのがポイントです。 また、地下茎を持つため、根元が太いものを選ぶようにします。根元が細いものは成長が遅く、病気にかかりやすいため避けましょう。 種子を選ぶ際には、新鮮で種子の色は均一で、表面にカビや変色がないものを選ぶことが大切です。収穫後の保存状態が良いものを選ぶことで、発芽率が高くなります。 品種の違いはありませんが、生育環境によって形態が異なることがあります。耐寒性はありますが、湿度が高すぎると病気にかかりやすくなりますので、購入する苗や種子が自分の育てる環境に適したものかどうかを確認しましょう。
- オヤマボクチはどのような食べ方がありますか?
オヤマボクチは、そばや草餅の材料として扱われるほか、日本の山菜として食べられることもあります。独特の苦みと香りが特徴で、主に若い茎や葉を食べます。 生で食べると苦味を感じるため、煮物や天ぷらにするのが一般的な食べ方と言えるでしょう。また、茹でたあとに醤油やお酢で和えると、オヤマボクチの風味を引き立たせ、美味しく味わえます。 食材として利用する際は、石や土などの異物をよく洗い流し、十分に調理してから食べることで、食材の安全性を保つことができます。
- オヤマボクチは草餅の材料としても扱われますか?
新潟県の笹団子や山梨県、東京都檜原村の草餅で利用されることがあります。 一般的にはヨモギが利用されますが、オヤマボクチが利用されるのは、地域の習慣によるところが大きいと考えられます。また、オヤマボクチは山間部で自生するため、ヨモギの収穫量が少ない地域で、代替としてオ利用されることも考えられます。
- オヤマボクチは蕎麦(そば)の材料として利用されますか?
長野県の信濃において、オヤマボクチが蕎麦のつなぎとして利用されるケースがあるようです。長野県飯山市の富倉地区では、「富倉そば」という、そば粉にオヤマボクチの繊維がつなぎとして用いられている特産品があります。 小麦をつなぎに利用すると、風味が薄くなることに比べ、オヤマボクチは風味に影響を与えないことが利用されている理由と言えます。また、小麦の栽培が難しい地域で利用されるというケースもあるようです。また、富倉地区以外でもオヤマボクチを使用した蕎麦があり、「ぼくちそば」と呼ばれています。