ウシハコベ（牛繁縷）

ヨーロッパを原産国に持つウシハコベは、キツネノマゴ科に属し国内全域に分布する一年草です。 花期は5～9月で、5枚の花弁を持ち中心部には黄色い雄蕊が10本と緑色の雌蕊が5本あり、白い花を咲かせます。 また、ウシハコベはその中に多くの種を持つ約1ミリ程度の黒い実をつけ、強い繁殖力と強靭な生育力から雑草として扱われています。 茎は直立型で草丈は30～60センチで、水辺や湿地を好む育てやすい植物です。 幅1～2センチ、長さ2～5センチの葉を対生に葉をつけ、その葉の形状が牛の腹に似ていることが、ウシハコベの名前の由来となっています。

ウシハコベの花の花弁が清楚で純白な印象を持つことから、「純粋な心」や「無垢な愛」という花言葉を持っており、純粋さや無垢さを表すときに使用されます。

夏～秋がウシハコベのの開花時期で、見ごろは特に7～9月となっています。 種から栽培した場合、開花までは約3か月程ですが、サイクルは一年または二年生で、咲いたあとの花は短期間で散ってしまいます。 花もちを良くするには適切な水分量と湿度を保つことがポイントで、乾燥に弱いため、とくに夏は水やりをしっかりと行いましょう。

ウシハコベは水を好むため、湿地で生息する植物です。水やりは土が湿っている状態を保つ程度の量にし、根腐れ防止のためにも排水性の高い環境を用意しましょう。 春～秋は土の乾燥を防ぐべく毎日水やりをして、冬は週に一回程度に止めます。 高めの湿度を好むため、乾燥している日は霧吹きで用水を与えてください。

排水性の高い湿地を好み、中性からやや酸性の、ph5.5～ph7.0の範囲の土が適しています。 窒素、リン酸、カリウムをバランスよく配合した化学肥料や有機肥料を与えると良く、特に春～夏の成長期は月に一回程度与えるようにします。 休眠期である冬は土の乾燥に気をつけ、肥料の与えすぎに注意しておけば、問題ありません。

日当たり良好な場所を好む植物ですが、耐暑性は弱く、高温多湿を嫌う傾向があります。 特に30度以上の気温になると成長は停滞し、さらにそれが続くと枯れる可能性が高まります。 最適な日照量は4～6時間程度で、それ以上はウシハコベにとってストレスになり、直射日光など強い日差しは避けた明るい日陰で育てましょう。 寒さには強いため冬でも問題なく育ちますが、極端な寒さには弱いため、霜対策は必要です。 また、過湿による病気を防ぐため、風通しの良い場所で育てるようにしましょう。

見た目を整えたい時や植物が過密になるほどであれば、新芽が出る前の春～初夏頃に剪定してあげると良いですが、基本的にウシハコベは切り戻しや剪定は必要としていません。 剪定する場合は枝の基部より5ミリ程度上を斜めに切るようにすれば、雨水がたまらず病気予防になります。 剪定後は適度な肥料と水を与え、成長サポートをしてあげましょう。

水辺や湿地を好むウシハコベですから、鉢で育てる場合は排水性の高い鉢を選び、そこには軽石や鹿沼土を敷いてあげてください。 植付は春～初夏に行い、種蒔きか苗を植えるかの二通りです。乾燥を防ぐためにも種蒔き後はビニールをかぶせて発芽を待ちます。 日当たりの良い場所で管理し、植え替えは二年に一度、鉢に根がいっぱいに広がったら一回り大きな鉢を用意し、春に移植してやるのが理想的です。 寄せ植えをする場合、ウシハコベと同様の環境を好む植物とともに植えるようにしましょう。

一年草であるウシハコベは種を形成しやすい特徴を持つため、種まきが一般的であり、最適な増やし方です。 種蒔きの適期は春で、直接庭や鉢に種をまき、土をかぶせ水を与えると、約二週間程度で発芽します。 花が終わり種子ができたタイミングで手動で行うか、自然に落ちるのを待つかで種を収穫できます。

特定の病害虫からの被害はありませんが、適切な肥料と水分、風通しや日光量を管理することで病害虫の被害は防ぐことができるでしょう。 特に過失は根腐れを引き起こし、病害虫の被害を受けやすくなるので、水やりは土表面が乾いてから行うようにしてください。