キツリフネ(Impatiens noli-tangere)は、日本をはじめとする東アジアやヨーロッパに分布している植物です。 湿った場所や林縁、道端などに生育し、茎の高さは30~100センチになります。葉は互生し、楕円形から卵形で、先端が尖り、縁には鋸歯があるのが特徴です。また、葉柄には腺体があり、触ると粘り気が感じられます。 7月から9月にかけてが花期にあたり、茎の上部に黄色い花を咲かせます。花は、下唇弁が大きく、上唇弁は小さく、側唇弁は2つあり、長さ約2センチです。また、花の後ろに長い距がある特徴的な形です。 果実は蒴果で、熟した後に触れると弾けて種子を飛ばします。この種子散布の仕組みは、植物が自ら種子を広げるための適応であると考えられています。 キツリフネの起源は、ヨーロッパとアジアの山地にあります。日本では、古くから山野に自生しており、江戸時代の著名な植物学者である伊藤園山が記した『本草綱目』にも記載されています。また、日本の民間薬としても利用されていました。 学名は、ラテン語で「触れるな」という意味を持っています。これは、熟したキツリフネの果実に触れると破裂して種子を飛ばすことから名付けられました。 分布域が広く、日本のほぼ全域に自生しているため、地域によって異なる名前で呼ばれる植物です。例えば、北海道では「ノリウツギ」、東北地方では「ツリフネソウ」、関東地方では「キツリフネ」と呼ばれています。
キツリフネ(黄釣船)
- 別名
- ホラガイソウ
- 学名
- Impatiens noli-tangere
基本情報
- ツリフネソウ 科 Impatiens 属 キツリフネ(黄釣船) 種
- Balsaminaceae > Impatiens > Impatiens noli-tangere
- 92%
- 完成度
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- 一年草
- ハーブ
- 草丈・樹高
- 50cm ~ 100cm
- 花の色
黄色
- 葉の色
緑
- 開花時期
- 6月-8月
- 日当たり
日向 午前から午後にかけて長時間日光が当たる場所 半日陰 木の木陰、もしくは午前・午後のどちらかが日陰となる場所 日陰 直射日光が当たらない場所
- 半日陰
- 耐寒性ゾーン
各植物がどの地域まで冬越し可能なのかを知るための指標です。 各植物のゾーンを知ることで屋根のない地植えで育てた際の耐寒温度を把握できます。 2:-42.7~-40.0 3:-39.9~-34.4 4:-34.3~-28.9 5:-28.8~-23.3 6:-23.2~-17.8 7:-17.7~-12.2 8:-12.1~-6.7 9:-6.6~-1.1 10:-1.0~4.4 11:4.5~10.0
- 6
- 耐寒性
- 普通
- 耐暑性
- 普通
- 原産地
- 日本, ヨーロッパ, 北アメリカ
- 成長速度
- 普通
キツリフネ(黄釣船) (Impatiens noli-tangere)の特徴
概要
花言葉
キツリフネの花言葉は、日本語では「触れるな」「敏感な心」「過敏」などです。 代表的な花言葉である「触れるな」は、この植物の繊細さや、人間の心の内面に触れることの難しさを表しています。また、「敏感な心」や「過敏」は、人間の感情や心の状態を象徴している花言葉です。 どの花言葉も、熟した果実に触れると破裂して種子を飛ばすこの植物の性質に由来しており、贈り物や花束に添えるメッセージとして、相手の心に寄り添い、繊細な感情を伝える際に用いられます。
キツリフネ(黄釣船) (Impatiens noli-tangere)の栽培時期・カレンダー
栽培時期・カレンダー
NO DATA
キツリフネ(黄釣船) (Impatiens noli-tangere)の育て方
水やり
キツリフネは湿り気のある環境を好むため、土壌の湿度を一定に保つようにしましょう。春から夏にかけては、気温が高く、水分が蒸発しやすくなるため、日に1回、朝晩の涼しい時間帯に水やりを行ってください。秋から冬にかけては、水分の蒸発が遅くなるため、2日に1回程度で十分です。 鉢植えの場合、表面の土が乾いたらたっぷりと与え、地植えの場合は、土が乾燥していたら、根元にじっくりと水を与えることが大切です。また、水はけの良い土壌を使用し、鉢底に石や砂を敷くことで、根腐れを防ぐことができます。
土壌・肥料の管理
キツリフネは、湿った土壌を好むため、水はけの良い土壌が適しています。また、土壌のpHは5.5から6.5程度のやや酸性が望ましいです。 肥料に関しては、春から夏にかけての成長期に、週に1回程度液体肥料を与えると効果的でしょう。窒素、リン酸、カリウムをバランスよく含んだ肥料が適しています。 秋に入ると、キツリフネの成長が緩やかになるため、肥料の与え方も減らしていくことが望ましいです。冬場は、肥料を与えないか、あるいは与える量を大幅に減らしましょう。
日当たり・気温の管理
キツリフネは、半日陰から日陰を好む植物です。直射日光が強すぎると、葉焼けや枯れる原因となるので、適度な日陰を確保しましょう。日焼けから守るために、他の植物や建物の影を利用するか、日よけネットを使用すると良いでしょう。 1日あたりの最適な日光時間は、4~6時間程度です。 逆に、日光が全く当たらない状況では、光合成が十分に行われず、成長が阻害されることがあります。 鉢植えの場合は、窓際やベランダなど、適度な日陰が確保できる場所に置くことが望ましいです。 キツリフネの栽培に最適な気温は、15℃から25℃です。 耐寒性があり寒さに強い植物です。しかし、霜には弱いため、霜が降りる前に収穫すると良いでしょう。 一方で、耐暑性はあまり高くなく、高温多湿の環境では生育が悪くなることがあります。日中に気温が高くなる場合は、日陰を作ることで適切な温度を維持しましょう。 最適な栽培温度や気温を保つためには、温度計を設置し、定期的に温度をチェックすることが効果的です。また、温度が高くなりすぎる場合は、水やりを適切に行い、土の湿り具合を保つことで、植物のストレスを軽減することができます。 キツリフネは、一年草であるため、夏越しや冬越しの方法について特別な方法は必要ありません。 夏越しに関しては、乾燥に弱いため、水やりをこまめに行ってください。 冬越しについては、耐寒性が低いため、霜や冬の寒さで枯れてしまいます。そのため、種子を収穫し、冬を越して翌年春に播種することで、毎年キツリフネを楽しむことができます。種子は乾燥した場所で保存し、春になったら適した場所に播種してください。
キツリフネ(黄釣船) (Impatiens noli-tangere)の上級者向け育て方
剪定の方法
キツリフネは、剪定や切り戻しを行う必要がありません。しかし、病気や害虫の対策や、他の植物の成長を妨げている場合には、剪定や切り戻しを行うことがあります。 剪定や切り戻しに最適な時期は、春から初夏にかけてです。 剪定や切り戻しの手順は、まず、枝を選び、不要な枝や病気・害虫に侵された枝を切り取りましょう。その際、切り口が滑らかになるように注意し、植物に傷をつけないようにします。 剪定や切り戻し後には、植物の周りを清潔に保ち、適切な水やりや肥料を与えることで、植物の健康を維持することができます。定期的に植物の様子を観察し、必要に応じて手入れを行うと良いでしょう。
鉢植えの方法
キツリフネの植え付けは、春から初夏にかけて行いましょう。種子をまく際には、適度な水分を保った土に、種子を浅く埋めるようにしてください。 植え替えは、発芽後、苗が成長し葉が3枚以上になったら行います。根が十分に広がるスペースを確保し、根を傷つけないように注意して行ってください。 収穫時期は、夏から秋にかけてです。果実が熟して膨らんだ状態で、まだ緑色をしているうちが良いでしょう。 収穫の際は、果実を優しくつまんで、破裂しないように摘み取りましょう。果実を軽く触るだけで破裂し種子が飛び散るため、注意が必要です。
増やし方
キツリフネの繫殖方法には、種子を蒔く方法と株分けがあります。一年草であり、成長が早く、種子が多くできるため、種子を蒔く方法が最適です。 春に適した場所に種子をまき、水やりを適度に行いましょう。適切な日光を当てることで、短期間で成長させることができます。また、自然に種子が飛び散るため、人為的に種子を蒔かなくても増えることがあるでしょう。 株分けは、成長した株を分けて植える方法ですが、一年草であり、株が弱く、株分けによる繁殖が難しいキツリフネにはあまり適していません。
病害虫対策
キツリフネは、特に、カイガラムシ、アブラムシ、アオカビ病、ウイルス病などの害虫や病気にかかりやすい植物です。 カイガラムシは、葉や茎に寄生し、植物の生長を阻害します。殺虫剤を使用するか、発生初期に手作業で取り除くと効果的です。また、アブラムシは、葉や茎に吸汁し、植物の生長を阻害します。天敵であるテントウムシやアザミウマを利用するか、殺虫剤を使用すると良いでしょう。 アオカビ病は、葉に発生し、枯れる原因となります。対策としては、感染した葉を取り除くことや、通気性を良くして湿度を下げることが重要です。さらに、予防的に殺菌剤を使用することも効果的でしょう。 ウイルス病は、生長を阻害し、葉や茎に変形や斑点が現れることがあります。感染した植物を早期に除去し、アブラムシなどの媒介昆虫を駆除することが重要です。
キツリフネ(黄釣船) (Impatiens noli-tangere)の分布地図
分布・生息地
キツリフネ(黄釣船) (Impatiens noli-tangere)の毒性
人や動物への健康効果
- edible
- 不可
- 毒性
- あり
キツリフネは、人体への毒性や健康への影響については、特に報告されているものはありません。 一方で、キツリフネの葉や茎には、抗菌作用や抗炎症作用があるとされています。また、民間薬として、かつては皮膚病やリウマチの治療に使われていたこともありますが、現在ではその効果が科学的に証明されているわけではありません。 効果や利用方法については、まだ十分に研究されていないため、注意して扱いましょう。
犬や猫への影響
キツリフネは、犬や猫に対して毒性があるとされている植物です。種子に含まれるアルカロイドが最も強い毒性を持っているほか、この植物の全ての部位に毒性があります。 犬や猫がこの植物を摂取した場合、嘔吐、下痢、痙攣、唾液の過剰分泌などの症状が現れることがあり、大量に摂取すると、症状が重篤化し、最悪の場合死に至ることもあります。 犬と猫で影響に大きな差は報告されていませんが、摂取量や個体差によって症状の程度が異なる可能性が考えられます。もしこの植物を摂取した疑いがある場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な対処を行ってください。
キツリフネ(黄釣船) (Impatiens noli-tangere)のQ&A
- ツリフネソウとキツリフネの主な違いや特性は何でしょうか?
ツリフネソウとキツリフネは、見た目が似ているため混同されやすいですが、実は異なる特性を持つ植物です。 ツリフネソウは、花の色が黄色で、花弁が5枚、果実が熟すと触れると爆発するという特性があります。それに対して、キツリフネは、花の色がオレンジで、花弁が4枚です。ツリフネソウのように果実が熟すと触れると爆発するという特性はなく、熟すと自然に割けて種を散布します。 また、ツリフネソウは湿地や水辺に生息し、キツリフネは山地や森林に生息するのも異なる点です。
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- キツリフネの閉鎖花についての特徴や意味は?
キツリフネ(Impatiens noli-tangere)は、他の花粉による受粉を防ぎ、種の生存と繁殖を確保するために、自家受粉を促進するための特殊な構造を持っています。 キツリフネ(Impatiens noli-tangere)の閉鎖花は、通常の開放花とは異なり、花弁が閉じていて内部が見えない状態ですが、その内部では雄蕊と雌蕊が接触し、自家受粉が行われており、花粉が風や昆虫によって運ばれることなく、確実に受粉が行われています。 また、風雨や草食動物から花を守るため、閉鎖花は一般的には地面近くに咲くというのも特徴の一つです。
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- キツリフネのおすすめの選び方はありますか?
キツリフネの苗や種を選ぶ際には、まず品種を確認しましょう。キツリフネには、主に「キツリフネ」と「ヒメキツリフネ」の2つの品種があります。 キツリフネは、黄色い花を咲かせる一方、ヒメキツリフネは、花が小さく、黄色からオレンジ色の花を咲かせます。自分の好みや育てる環境に合わせて決めましょう。 種子を選ぶ際は、収穫後1年以内のものが発芽率が高く、良い成長が期待できるため、新鮮なものを選びましょう。種子の表面が滑らかで光沢があり、大きさが均一であることも品質の良さを示すポイントです。 苗を選ぶ際には、根元が太く、茎がしっかりと立っているものを選びましょう。また、葉が緑色で光沢があり、花が咲いていない若い苗が望ましいです
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