イヌエンジュ(Maackia amurensis)は主に東アジアの寒冷地に分布し、中国北東部、朝鮮半島、ロシア極東部、日本などに自生しています。日本では北海道から本州の東北地方にかけて自生し、特に山地や河川敷に多く見られます。 樹高は15メートル程度に成長し、樹皮は灰褐色で縦に裂ける特徴があります。葉は羽状複葉で、小葉は7枚から11枚ほど並び、長さは20~30センチ程度です。葉の表面は光沢があり、裏面には白い毛が密生しています。 花期は6月から7月で、白い花が円錐状の花序に密集して咲きます。花は直径約1センチほどの蝶形花で、甘い香りがあるのが特徴です。果実は、長さ4~6センチほどの細長い形状をした豆果で、秋に熟します。 園芸品種としても栽培され、庭木や街路樹として植えられるほか、木材として利用され、家具や建築材料に使われることがあります。 イヌエンジュは、アムール川流域を中心に分布し、その起源は主に東アジア地域にあります。 学名は、19世紀のロシアの探検家であるリチャード・マークにちなんで名付けられました。彼はアムール川流域でイヌエンジュを発見し、その標本を持ち帰りました。「amurensis」はラテン語で「アムール川の」という意味で、その分布域に由来しています。 日本では、北海道の一部地域に自生しており、日本固有の亜種として「イヌエンジュヒメノキ」が存在します。この亜種は、本州以南の地域にも分布しています。
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