タニワタリノキ(Adina pilulifera)は、日本では九州から関東地方にかけて分布しています。河川敷の林や山地に生育し、湿り気のある場所を好む植物です。樹高は10メートルから15メートルほどで、樹皮は灰褐色で縦に割れやすい特徴があります。 葉は対生し、長さ10センチから20センチほどの卵形です。また、先端が尖り、縁には鋸歯があります。花期は5月から6月で、枝先に直径約10センチの球状の花序をつけ、白い小花が密集して咲きます。 果実は直径約5ミリメートルの球形で、熟すと黒褐色になるのが特徴です。 また、家具、器具類や建築の材料として利用されることがあります。 タニワタリノキは、アジアの熱帯から亜熱帯地域に分布しており、その起源は、中国南部や東南アジアにさかのぼると考えられています。日本では主に九州地方から琉球列島にかけて自生している植物です。 その歴史は2000年以上前にまで遡ることができ、中国では古くから薬用植物として利用されていたほか、日本にも古くから伝わっており、江戸時代の薬用植物図鑑にも記載があります。 「タニワタリノキ」は、谷を渡るように生育することが名前の由来です。また、学名の「Adina pilulifera」は、ラテン語で「小さな丸い果実を持つ」という意味があり、その特徴を表しています。
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