絵画の買取相場の調べ方|価値の高い作品とは?無名作品を売る時の注意点も解説
「昔に買った絵を売りたい」「親から相続した絵画を処分したい」など、所有している絵画の売却を考えている人は、絵画の買取相場が気になるのではないでしょうか。
多くの人は、インターネットで同じ作家の作品や同じジャンルの作品などから、買取相場を調べると思いますが、基本的に1点ものである絵画の相場は、様々な要因で変動しやすく予想しづらいものです。
そこで今回は、買取相場をどうやって調べたらよいか、相場が決まるポイントや高く売れる絵画の特徴などを紹介していきます。高く売るコツや買取業者の選び方も解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
- 絵画の買取相場がどうやって決まるのか
- 高価になりやすい絵画の特徴や高く売るコツ
- おすすめの買取方法や買取業者の選び方
絵画の買取相場が分かりにくい!その理由とは?
絵画の買取相場が分かりにくい理由として、主に次の3つが挙げられます。
- 決まった基準がない
- 販売事例が買取相場ではない
- 査定ポイントは絵の内容だけではない
絵画の価値や、相場の調べ方に決まった基準がない
絵画は需要があるかどうかで価値が決まるため、価格の変動が大きいことが特徴です。
ある人が100万円の価値があると思う絵画でも、別の人が300万円で入手すれば、その絵画の市場価値は300万円になります。しかし、その絵画を手放す時に市場での需要がなければ、査定額は買った時よりも低くなるでしょう。
このように高い金額を払っても欲しい人がいれば相場は上がり、欲しい人がいなければ相場が下がるので、絵画の相場は「時価」とも言えます。そのため、絵画の価値や相場の調べ方に決まった基準がなく、分かりにくいとなるのです。
買った時と同じ金額で売れるというわけではないんだね!絵画の価値って難しい〜
買取事例イコール買取相場ではない
インターネットで探したら、同じ作家の作品の買取金額が載っていたから、それに近い金額で売れるのでは?と思われる人も多いでしょう。
しかし、買取実績はひとつの事例であって、買取相場とはなりません。
インターネットに載っていた絵画が売買された時期から、画家や作品の需要が大きく変動した場合、実際に売却したいと思った時には買取金額にかなり差が出ることもあるからです。目安にはなりますが、いくらで査定してもらえるかはその時々によるとしか言えません。
実際に査定してもらわないと、買取金額がいくらになるか分からないんだね。
絵画の査定ポイントは絵の内容だけではない
査定額を決める要因は、画家や作品のテーマ、技法といった、絵の内容だけではありません。
絵画の保存状態や、額の価値、鑑定書の有無なども、査定のポイントです。また、買取店がその絵をいくらで売却できると見込んでいるかで査定額も変わってきます。そのため、買取方法や買取店によっても、査定額に差が出ると言えるでしょう。
絵自体に価値がなくても、額の価値で買い取ってくれるケースもあるみたいだよ!
絵画の買取相場が決まる3つのポイントとは?
これまでの理由から、はっきりとした金額が分かりにくい絵画の買取相場ですが、だいたいの相場が決まるには3つのポイントがあります。
- 画家の知名度
- 需要があるか
- 希少性
この3つが当てはまる絵画は、高く買取してもらえる可能性があります。
画家の知名度の高さ
有名な画家の作品であれば、高額での買取が期待できます。絵画に詳しくなくても名前が有名だったり、よく知られた作品がある画家の絵画であればなおさらです。
絵のモチーフや技法はともかく、名のある画家の作品というだけで高値が付きやすくなります。
逆に、無名の画家の場合は知名度の低さから評価が付かないこともあるため、高く買い取ってもらうには画家の知名度は重要なポイントです。
誰もが知ってる有名な画家っていうと、ピカソとかゴッホとか!?そのレベルになると、絵画の価値も何百億単位になってくるみたい!
絵画の取引市場で需要があるか
絵画は、需要がなければ価値が付きません。知名度のある画家であればコレクターもいるため、常に需要があり価値もどんどん上がっていきます。
需要の有無は、ジャンルによっても異なります。掛け軸は和室の床の間に飾られるものですが、生活様式の変化によって掛け軸の需要が年を追うごとに減ってきているのが事実です。
一方で、アンディ・ウォーホールやクリスチャン・ラッセン、草間彌生などの現代アートは、評価が上がってきているジャンルなので今後も期待が持てるでしょう。
どんなに有名でも、その時代で需要がないと、価値も下がってしまうんだね。
作品の希少価値が高い
入手しずらい作品は希少価値が高く、高額で取引されやすいです。多くの作品を残している画家の作品と比べると、作品数が少ない有名な画家の作品の方が希少価値が高いと言えるでしょう。
有名な画家の未発表作品も希少価値が高く、コレクターたちによって価値が上がっていきます。版画やレプリカも、人気の画家で数が少ない作品は、希少性もあり査定額も上がりやすいです。
有名な画家の未発表作品って、びっくりするような金額が付いたりするよね。
絵画の買取相場事例
実際に買取された絵画の、買取相場の事例も見てみましょう。当サイトでもご紹介している、買取店の「福ちゃん」と「バイセル」から1作ずつ、実際の買取相場をご紹介します。
東山魁夷の木版画
買取価格¥1,800,000-
“引用元:福ちゃん公式サイト“
棟方志功のリトグラフ数点
買取価格¥300,000-
“引用元:バイセル公式サイト“
自分が持っている作家の買取実績もチェックしてみよう!
無名画家の絵画を売るのは難しい?高額になりやすい絵画の特徴
高額になりやすい絵画には、3つの特徴があります。
- 描かれた時期が画家の円熟期
- 需要の高いジャンル
- 画家のトレンド性
画家の円熟期に描かれている
画家の作品は、「初期」「円熟期」「晩年」の3つの時期に分けられます。
中でも、円熟期に描かれた作品は、その画家を象徴する代表的なモチーフが描かれていることが多いため、より人気や需要が高まります。そのため、画家の円熟期に描かれた作品は高額になりやすいのです。
また、初期と晩年を比べた場合は、晩年の作品の方がより技巧が進歩しているため、高額になりやすい傾向があります。
画家として一番脂がのっている時期の絵が、価値が高くなりやすいんだね。
絵画のジャンルに高い需要がある
絵画には、いろいろなジャンルがあります。日本画や西洋画、インテリアアート、現代アートなどです。掛け軸の需要が減ってきていると述べたように、ジャンルによって需要に差があります。
また、高価な画材を使っていたり布に描かれた作品などは、耐久性の高さから作品そのものの価値が下がりにくく、需要は高いです。ほかにも、季節に合った作品は需要が上がるなど、モチーフやテーマによって変わることもあります。
時代によっても人気のジャンルが変わるんだね!
売却時に画家のトレンド性が高い
絵画の相場は、トレンドに影響されることも多く流動的です。
それまで無名だった画家が絵画展で何らかの賞を受賞すると、一気にトレンドに乗りその画家の作品が高値で取引されるようになります。メディアで紹介されたり雑誌に載るなど何かきっかけがあれば、その画家や作品が注目されて価値にも反映されるのです。
絵画を高価買取してもらうコツとは?
高額になりやすい絵画の特徴は分かりましたが、さらに高価買取をしてもらう5つのコツをご紹介します。
- 保存状態が良い
- 情報がはっきりわかる
- 付属品が揃っている
- 複数の業者に査定してもらう
- まとめて査定に出す
ご自身が保有している絵画が当てはまるか、確認してみましょう。
絵画の保存状態が良い
絵画は傷や汚れ、日焼けなどで保存状態が悪いと、それだけで査定額が下がってしまいます。できるだけ良い状態で保存することは、高く売るためには必須です。日が当たらず、高温になりにくい場所に保管しましょう。
湿度も大敵です。押し入れなどは以外に湿度があるため、新聞紙に包むなどの湿度対策もしておきましょう。
鑑定書などの付属品が揃っている
絵画には、鑑定書や額縁、袋や箱などの付属品があります。
これらを全部セットにして査定に出すだけでも、査定額が大きく変わる可能性があるので、付属品は必ずすべて揃えておきましょう。特に、鑑定書は絵画の真贋を判断する大切なものです。
付属品が揃っていて保存状態がよければ、高く買い取ってもらえる可能性が上がるんだね!
複数の買取店に査定してもらう
絵画を売却する時は、複数の買取店で査定してもらうのがおすすめです。
今の買取相場がわかることで、絵画の価値がおおよそ予想できます。一つの店舗で査定してもらった場合は、その金額が適正かどうかがわかりません。
いくつかの店舗で査定してもらえば、その中でも一番高値を付けてくれた買取店に売ることができるのもメリットがあります。また、複数の買取店に査定してもらう時の注意点は、信頼できる買取店を選ぶことです。
複数の買取店で出た査定額の平均が、だいたいの買取相場と思って良さそう。
複数点ある場合はまとめて買取に出す
絵画を複数所有しているなら、まとめて同じ買取店に出すのがおすすめです。
買取店にとってはまとめて買取することで、手間や手数料を省けるメリットがあります。浮いた分を査定額に上乗せしてくれることもあるので、売り手にとってもメリットです。
絵画以外の骨董を扱っている店舗であれば、ほかの骨董品も一緒に査定に出すとよいでしょう。
まとめて売ることで、買取額が上乗せされることもあるんだね。
絵画の買取方法は?おすすめはどの方法?
買取に出す方法としては、次の5つがあります。
- 出張買取
- 店頭買取
- 宅配買取
- アプリを利用する
- ネットオークションで売却する
それぞれ、どのようなやり方なのか見ていきましょう。
出張買取を利用する
出張買取は、買取店が自宅や絵画が保管してある場所に来て査定をします。サイズが大きかったり何点もあったりする場合は、持ち運ぶだけでも大変です。
出張買取なら手間もありませんし、鑑定士に保管状態も含めて見てもらうことができます。買取店は作品が良いものであれば買い取るつもりで来るので、査定したその場で契約が成立することもあります。
店頭買取を利用する
絵画を自分で買取店に持ち込み、査定してもらう方法もあります。
出張買取はすぐに来てもらえない場合もあります。店頭であれば、売りたい時にすぐに持って行って、その場で買取りしてもらえるので、早く売りたい場合は店頭買取が便利です。
また、自宅や保管場所に来てほしくない時も、店頭であれば問題ありません。近くに信頼できる買取店があるなら、店頭に持ち込むのもおすすめです。
宅配買取を利用する
出張や店頭買取以外にも、宅配を利用した買取もひとつの方法です。
絵画を買取店に宅配便で送り査定をしてもらうのですが、自分で梱包する手間や配送中に破損するなどのリスクがあります。宅配業者によって美術品専用の宅配サービスを行っているところもあるので、できるならそういったサービスを利用した方が安心です。
LINEなどのアプリでの買取を利用する
買取店によっては、LINEなどのアプリを利用して、査定や買取を行っているところもあります。
絵画の写真や情報を送って査定してもらうので簡単です。ただ、写真だけでは判断しづらい面もあり、最初の査定とは買取金額が変わる可能性もあります。
また、買取契約をアプリだけで完結してしまうと、実際はもっと価値のある絵画でも低い金額で買い取られてしまう可能性があることも考慮しましょう。
ネットオークションを利用する
買取店などを利用せずに、ネットオークションで自分で売買する方法もあります。
ネットオークションのメリットは、サイトの手数料と配送料以外は、すべて自分の利益になることです。買取店ではそれほどの値段が付かなくても、本当に欲しい人がいて買取店で売るよりも高値で落札されることもあります。
デメリットとしては、出品や引き渡しの手間がかかること、トラブルになった場合は自分で対処しなければいけないことです。また、いつまでも売れずにいて、その間に価値が下がってしまい、買取店に当初より低い金額で買い取ってもらうことになるケースもあります。
絵画を売るにはいろいろな方法があるね。自分が一番メリットがありそうな方法を探そう!
絵画を売りたい時の買取店の選び方
絵画を売る時は信頼できる買取店を選ぶことが重要です。その選び方には、次の3つのポイントがあります。
- 絵画専門の鑑定士がいる
- 豊富な実績がある
- 出張買取が可能
安心して絵画を売るために、選んだ買取店が当てはまるかチェックしましょう。
絵画専門の鑑定士がいる
一番大切なことは、絵画を専門とした鑑定士が在籍していることです。
絵画を鑑定するには、幅広い知識や経験が必要になります。画家や描かれた技法だけではなく、描かれた状況や歴史的背景、絵画の来歴などを理解していて、はじめてその絵画の正しい査定ができるのです。
専門の鑑定士がいないと、価値のある絵画が安い金額で買い取られてしまいます。店舗の規模よりも、鑑定士のプロフィールをチェックしましょう。
幅広い知識や、経験のある鑑定士がいる買取店を選ぼう!
絵画買取の豊富な実績がある
絵画の買取実績があるかも、重要なポイントです。
買取実績が豊富にあれば、それだけ信頼できる買取店と言えます。ホームページで買取事例を掲載している買取店もあるので、参考にしましょう。
ホームページもなく口コミもないという買取店もあります。その場合は、運営年数をチェックしてみるとよいでしょう。絵画を扱う仕事はとても難しく、その中でも長く営業できているということは信頼につながるからです。
買取実績が豊富だったり、長く運営している店舗は信頼できそうだね。
出張買取を行ってくれる
絵画はとても繊細なものです。持ち運びの際に傷つけたり、状態が悪くなってしまうリスクがあります。
出張買取であれば、専門家が保管場所まで来て査定をしてくれて、梱包や搬出もすべて買取店で行ってくれます。
ただし、怪しい買取店に依頼すると不当な金額で買取りされたりトラブルに遭う可能性もあるので、上記の2つのポイントともに、しっかり見極めて依頼しましょう。
出張買取は便利だけど、信頼できるところじゃないとトラブルにあう可能性もあるから気をつけよう!
絵画を買取に出す時の注意点とは
絵画を買取に出す時は、次の3つを注意する必要があります。
- 売却金額によって税金が掛かる
- レプリカの場合は売値がつかないこともある
- 世界の経済状況も買取価格に影響がある
買取に出すタイミングにも関わってくるので、気を付けましょう。
売却金額によって税金が掛かる
絵画は、財産のひとつです。そのため、買取額が30万円を超える場合は、譲渡所得とみなされ所得税の課税対象となります。絵画だけでなくほかの財産も同じ年に売却や譲渡した場合、合算して30万円を超えれば課税対象になるので注意が必要です。
譲渡所得は、売却した金額から取得時の金額と譲渡に係った費用、特別控除額を引いた金額が対象になります。この計算で、プラスになれば税金を納める必要があるので、売却する時に買取店や税理士などに確認してみましょう。
税金のことは忘れがちだから、ちゃんと覚えておこう!
レプリカの場合は売値がつかないこともある
レプリカの場合は、店舗によっては買取してもらえないこともあります。有名な作品や高額な作品には、レプリカが作られていることも多いです。
レプリカは贋作ではなく複製品なので、価値が全くないわけではありません。シリアルナンバー付きや画家の直筆サインがあるものなどは、価値があるケースもあります。
どちらにしても、所持している絵画がレプリカかどうかははっきりさせておくとよいでしょう。
レプリカでも、シリアルナンバー入りの手に入りにくい絵画は良い値がつくし、そうじゃないものは買取価格がつかないものもあるってことだね。
世界の経済状況も買取価格に影響がある
絵画の売買には、世界の経済状況も影響してきます。不況になると絵画の価値が下がり、今まで高額で売れていた作品も売れなくなったり、絵画の相場自体が冷え込んでしまうのです。
例えば2008年のリーマンショックや、2020年の新型コロナウィルスなどが、日常生活だけでなく絵画のマーケットにも影響を与えています。
世界が不況の時は、絵画も高く売れないんだね。
まとめ
絵画の買取相場は、車やブランド品など一定の基準が設けられているものとは違って明確な基準がないため、インターネットなどで調べても分かりにくいものです。
しかし、いくつかの買取店で査定してもらうことで、おおよその相場は分かります。後は、信頼できる買取店を選ぶことと、絵画を良い状態で売りに出すことです。また、画家の知名度やトレンド、世界情勢によっても買取相場は変動します。
コツや注意点をしっかり理解し、良いタイミングで少しでも高値で買取りしてもらえるようにしましょう。