フードロス

【食品ロス対策】賞味期限切れの割合は?消費期限との違いも解説

hahifuho

普段購入している食品に表示されている「賞味期限」は、実は「食べることができる期限」ではないことを知らない人も多いのではないでしょうか。

日本の年間の食品ロスは、年間東京ドーム5つ分の量、約612万トンに及びます。家庭や小売業者による「大量の食品廃棄=食品ロス(フードロス)」の背景には、「賞味期限」が大きな原因のひとつとなっているのです。

この記事では、食品ロスの原因に賞味期限がどのように関わっているのか、国の食品ロス削減の取り組みから、家庭でできる食品ロス対策を詳しく解説しています。食品ロスについて知識を深め、自分でできることから食品ロスの取り組みを始めましょう。

この記事でわかること…
  • 賞味期限と消費期限の違い
  • 賞味期限が、大量の食品ロスを発生させている背景
  • 国の食品ロス削減の取り組みと、家庭でできること

賞味期限とは

食品のパッケージや、飲料水のラベルに表示されている期限は「賞味期限」と「消費期限」の2種類あります。

賞味期限」は味や風味を保証する年月日で、期限が切れたからといって「すぐに食べられなくなる」というわけではありません。封がしっかり閉じられていて、適切な場所で保存されている食品の場合は、味や風味といった品質を維持できるという期限です。

主に缶詰やスナック菓子などの、長期保存しても傷みにくいものに表示されています。

3か月以上保存できるものは「年・月」だけで表示されていたり、劣化が極めて低い砂糖や塩、ガムなどの食品には表示を省略するものもあります。

賞味期限が切れても食べられるんだ!知らなかった〜。

テラビット
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賞味期限切れを食べても大丈夫?

賞味期限が過ぎてしまっても、すぐに衛生上の問題が生じるものではありません。開封して、色やにおい、味に異常がなければ問題なく食べられます。しかし、高温多湿などの保管方法によっては、商品の劣化が早まるので正しく保管するように心がけましょう

ただし、開封したものは賞味期限内であっても、安全に食べられるとは限りません。菌が混入し繁殖する危険性があるので、いつまで大丈夫かと判断しづらくなります。開封後は賞味期限に関わらず早めに食べましょう。

消費期限との違い

「消費期限」は、傷みやすい食品に表示されるケースが多く、消費期限を超えると、安全に食べられなくなる期限です。

消費期限の表示が義務付けらている主な商品は、刺身や果物といった生ものや、弁当や生洋菓子といった加工品です。

消費期限は、5日以内が目安で5日を超えると品質が著しく低下するものは、年月日を表示することが義務付けられています。

「賞味期限」は期限が切れても食べられるけど、「消費期限」は食べたらダメなんだねっ!

テラビット
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賞味期限と消費期限の食品一覧

一般的には著しく劣化が早いものが「消費期限」、比較的長期保存できるものが「賞味期限」です。

食品表示法では「5日間」という基準を設け、5日以内が消費期限、5日を超えるものを賞味期限として表示します。以下では、賞味期限や消費期限の表示がされている主な食品や、期限切れの場合に食べられるのかを表にまとめました。

賞味期限消費期限省略できる
期限切れの場合
※未開封・
適切な保存状態
食べられる食べられない劣化がほとんどない
主な食品スナック菓子・缶詰・冷凍食品・ハムやソーセージなどの加工品・飲料水・インスタント類・缶ジュース・レトルト食品・ヨーグルトなどの乳製品・たまご・ジャム・豆腐・納豆・長期保存できるパン魚・肉・野菜・果物・弁当・サンドイッチ・パン・おにぎり・惣菜・生菓子・砂糖・塩・調味料・チューインガム・アイスクリーム・氷・酒・飲料水および清涼飲料水

わたしたちが日常的に利用している食品がどちらの表示なのかが分かると、捨てるかどうかの適切な判断ができるようになるため、食品ロスに繋がります。

食品によって、賞味期限や消費期限が表示されているものと、何にも書かれていないものもあるんだね!

テラビット
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賞味期限が与える食品ロス(フードロス)の影響

food loss

日本の食品ロスは、年間約612万トンで国民1人当たりに換算すると、毎日お茶碗1杯分の食料を捨てていることになります。日本のフードロスは、以下の問題を引き起しています。

フードロスが引き起こす問題
  • 食料の62%を輸入しているにもかかわらず、大量に廃棄している
  • 食品ロスに関係する処理代、二酸化炭素の排出、埋め立て問題
  • 2050年世界の人口が20億人以上増加。それに伴う、食糧不足問題

賞味期限が食品ロスに与えている影響として考えられることは、まだ食べられる食品が、賞味期限によって大量に捨てられているからです。日本の食品ロスは、家庭と食品関係者による廃棄が大きな要因なのです。

食品ロス率の半分は家庭

※引用画像元:消費者庁日本の食品ロスの状況

家庭では、まだ食べられる食品が毎日大量に捨てられています。

消費庁によると、食べられる食品にあたる食品ロスは年間約500〜800万トンに及び、約半分(200から400万トン)は家庭から捨てられる食品という調査結果が出ています。

家庭による食品廃棄物は約39%が食べ残しです。食べ残しが起きる要因としては、以下のことが指摘されています。

  • 過剰除去(野菜のへたや葉っぱなどの除去、皮を厚くむくなど、可食部分まで過剰に取り除くこと)
  • 作り過ぎ・買い過ぎ(作り過ぎて食べ残された料理 ・期限切れとなった食品がそのまま捨てられる )
  • 新鮮思考・鮮度重視(例えば「賞味期限が近い商品は選ばない」など、食品の日付から鮮度を重視する考え)

つまり、賞味期限切れや期限前でも、味が落ちているから食べられないと判断されて捨てられていることが多いのです。

確かに、野菜の皮を厚くむき過ぎちゃったり、食べるかも?と思ってつい買い過ぎて腐らせちゃったりもったいない経験」は誰もが一度はやったことあるよね。

テラビット
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食品の流通業界における「3分の1ルール」とは

3分の1ルール」とは、食品の製造日から賞味期限までの期間を、3分の1ずつ分けて設定するルールのことです。食品の流通は、製造・卸業・小売を通して、消費者へ届けられます。

  1. 卸業が小売業へ納品する期間納品期限
  2. 小売業が店頭に並べてもよい期間販売期限
  3. 食品がおいしく食べられる期間の賞味期限

この期間を1日でも過ぎると、返品される仕組みになっています。 製造メーカーへ返品されたものは、年間562億円相当で、2割はディスカウントストアへ、残り8割は廃棄されるのです。

日本の3分の1ルールは、法律ではなく食品の流通業界の習慣のようなものです。このようなルールは、ヨーロッパでは3分の2、アメリカでは2分の1と比較的長い期間であるのに対して、日本は短い期間で設定されています。

理由としては、日本の消費者が期限を気にするためで、食品ロスは消費者や食品流通業界と密接に関連しているのです。

賞味期限切れ販売の規定

賞味期限か消費期限のいずれかの表示は「食品表示法」という法律で規定されています。しかし、「3分の1ルール」は法的な位置づけはなく、実行する義務もありません。

さらに、表示期限切れを過ぎた商品の販売については、農林水産省では、以下のように回答しています。

食品等の販売が禁止されるのは、当該食品等が食品衛生法上の問題がある場合、 具体的には食品衛生法第6~10条、第19条等に違反している場合ですので、仮 に表示された期限を過ぎたとしても、当該食品が衛生上の危害を及ぼすおそれのな いものであればこれを販売することが食品衛生法により一律に禁止されていると はいえません。 しかしながら食品衛生を確保するためには、消費期限又は賞味期限のそれぞれの 趣旨を踏まえた取扱いが必要です。 まず、消費期限については、この期限を過ぎた食品については飲食に供すること を避けるべき性格のものであり、これを販売することは厳に慎むべきものです。 また、賞味期限については、期限を過ぎたからといって直ちに食品衛生上問題が 生じるものではありませんが、期限内に販売することが望まれます。

賞味期限切れの販売は衛生上問題がなければ、販売を禁止していない。」ただし、期限内に販売することが望ましいという趣旨を述べています。

さらに、賞味期限は「すぐに食べられなくなるわけではないが、個別に判断する必要がある」という記載もあることから、賞味期限切れのものをすぐに廃棄する必要はないが、現状は食べられるものを捨てているといえます。

賞味期限切れの商品は衛生上問題なければ、売ってもOKなんだ!?でも、事業者も家庭も賞味期限を気にしすぎて、廃棄することが多かったんだね。

テラビット
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国や事業者の食品ロス対策

※画像引用元:農林水産省食品ロスの削減に関する法制度の概要

食品ロスの削減には「家庭」と「事業者」両方の取り組みが必要です。2019年より始まった食品ロス削減に関する法律から、事業者の具体的な取り組みを解説します。

農林水産省「食品ロス削減推進法」

2019年10月に施行された「食品ロスの削減推進に関する法律」は、 2030年度に食品ロスを2000年と比較して半減する取り組みで、目標は489万トンです。

主に、消費者庁農林水産省経済産業省環境省に加え、文部科学省の5つの省庁が参画しています。消費者、事業者、地方自治体などに対して、食品ロスへの意識を高め、具体的な削減を目指す方針が計画されました。

  • 「賞味期限の大括り化」
  • 「賞味期限の表示の延長」
  • 「納品期限の緩和(3分の1ルールの見直し)」

 事業者へ三位一体で推進しています。

賞味期限の大括り化

大括り化とは「おおくくり」と呼び、賞味期限の表示を年月日から年月に変更することです。

以前は、2022年11月20日の賞味期限のものを納品する場合、2022年11月19日より前のものは納品できませんでした。しかし、2022年10月とすることで、月単位で商品の管理ができ、食品ロスを低減できる効果があります。対象商品は賞味期限3か月以上のものです。

年月の表示により、賞味期限をオーバーすることが防げるメリットがあります。例えば、2022年11月19日は、2022年10月と表示され、日付が本来よりも短縮になるのです。

これで、賞味期限切れを防げますが、本来よりも19日早い期限のために、逆に食品ロスを助長することになるため、賞味期限の延長が必要になってきます。

賞味期限表示の延長

食品の衛生の技術向上や気密性の高いパッケージの開発により、食品の賞味期限が長くなっています。

そのため、賞味期限の長い加工品などを対象に賞味期限を延長する動きが出てきています。さらに、個別包装や容器構造の工夫により、賞味期限を延ばせるよう、企業も努めています。

具体的には、賞味期限が5日ほどから数カ月以上になったり、長期保存可能な容器の販売したりと、すでに実行している企業も増えているのです。

納品期限の緩和(3分の1ルールの見直し)

「納品期限の緩和」とは、小売業へ納品期限や販売期限の「3分の1ルール」を見直すことです。

この3分の1ルールで、賞味期限まで余裕があるにもかかわらず、廃棄される商品を防ぐねらいがあります。

具体的にはアメリカのように「2分の1」へと移行し、お菓子やカップ麺や飲料水などがメーカーによって変更されています。賞味期限3か月以上のものを2分の1ルールに変更するだけで、年間4万トンの廃棄を削減が可能です。

実際に京都市で行った販売期間の延長では、前年度に比べ、約10%の廃棄処分抑制効果が出ています。

3つの取り組みを同時におこなうことで、食品ロス削減の効果を加速させようとしているんだね!

テラビット
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こちらの記事で詳しく解説しています。

フードバンクや子ども食堂への食品提供

企業や農家からの提供により集められた食品は、フードバンクとして、団体や子ども食堂、個人に寄贈されます。

農家であれば規格外のもの、企業であれば、印字ミスや過剰在庫といった安全に食べられるものばかりです。行政からの補助金や連携により推進されています。日本の子どもの貧困は7人中1人と深刻で、フードバンクが一助となっています。

個人ではイオンなどの企業活動や大学の学園祭などのイベントで募集されていたり、地方自治体による呼びかけなどもあるため、身近に持ち込めます。

小売業による「てまえどり」促進

小売業者の取り組みでは、すぐ食べるものは「てまえどり」のポップを貼って啓発しています。

コンビニエンスストアのフランチャイズチェーン店を通じて、全国で呼びかけることで、多くの人の意識を変えるきっかけになります

また、スーパーで賞味期限の近い商品を割引する、食品ロス推進は、消費者が安く手に入れるなどのメリットもあるので、効果的です。

“参考:環境省てまえどりダウンロードページ」”

賞味期限切れスーパーや通販サイト

テレビなどのメディアで話題となった賞味期限切れのお店は、圧倒的な安さで販売されています。

比較的賞味期限が長い加工品を中心に、安全に食べられるものを購入可能です。 ネットでも「訳あり」とのキャッチコピーで賞味期限が近いものや、大量在庫のものが販売されています。

消費者の食費節約になるだけではなく、食品ロスにもなります。

まだ食べられるのに捨てられていた食材を、必要な人に届ける取り組みは素晴らしいよね!

テラビット
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こちらの記事で詳しく解説しています。

家庭で出来る食品ロス対策

家庭では子どもも含めて「食品ロス」問題を意識して、取り組むことが大切です。

学校では給食を通じて食育の授業があり、食べ物の大切さを学びます。家庭でも食費は大きな支出なので、食べ残しゼロを目指す工夫が必要です。

  • 無駄にしないよう買いすぎない
  • 料理で工夫して食べきる
  • 保存の工夫

無駄にしないよう買いすぎない

買い物する前の食材チェックは、無駄なものを買わない対策になります。

なるべく献立を考えて、必要な分量だけを買うことで、買いすぎずに済みます。「賞味期限」や「消費期限」を見分けて、すぐに使い切るものであれば、賞味期限が近いものを選びましょう。

前述した「てまえどり」を心がけると、食品ロス削減に貢献できます。

料理で工夫して食べきる

野菜の皮や葉っぱ、野菜の芯といったものは、栄養価が高く、工夫次第ではおいしく食べられます。

家庭では捨てられることが多く、フードロスの主な原因の一つです。干して乾燥させたり、レシピアプリで「フードロス」「食材を使い切る」などで検索すると、該当するレシピが出てきます。

保存の工夫

買った食材は適切な保存方法を行うことで、劣化を防げます。

「要冷蔵」は冷蔵庫で保存。特に表示がなければ、常温で日の当たらないところ、温度が一定に低く保たれた場所がよいでしょう。一度に食べきれない量の場合は、漬物などの長期保存できるものに加工すると、無駄になりません。

無駄なものを買わない」や「調理や保存方法を工夫する」は、食費節減にもなるからすぐに取り組めるよね!

テラビット
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賞味期限の表示の見方

賞味期限は食品のパッケージやラベルなどに表示されています。

例えば、ペットボトル飲料水はペットボトルのフタやキャップ下やラベルに。缶ジュースやカップアイスであれば、底面といった部分に印字されています。

賞味期限の表示例は、左から「賞味期限年(西暦).月.日」です。 「賞味期限:2023年1月」と一目で分かるものから、「20230101」のような数字羅列や「賞味期限23.1.1」のように西暦2000年の部分を省いたものなど、さまざまです。

3か月以上の長期保存の場合は、日にちを省いた「年月」のみもあるので、しっかり確認しましょう。

こちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ

業者と家庭から大量の食品が毎日廃棄されています。食品ロスの原因には、賞味期限が大きく関係しているのです。

行政や企業では、食品ロスを削減すべく賞味期限や納品期限の延長など、さまざまな取り組みを実施していて、家庭でも少し意識するだけで、無理なくできる食品ロス対策はあります。

親子で食べ残しゼロを目指したり、無駄買いをしない、保存や食べきる工夫をする、賞味期限が近いものから購入するようにするなどです。

フードロス削減を家庭で目指すということは、子どもの食育にもつながりますので、できることから始めてみましょう!

2000年から食品ロスは減少しているけれど、まだまだなんだね。国や事業者と家庭のみんなが協力して取り組んでいくことが大切だね!自分でできることから始めよ〜!

テラビット
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こちらの記事で詳しく解説しています。

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