コムラサキ（小紫）

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）の学名である「Callicarpa」は、ギリシャ語で「美しい果実」を表しており、「dichotoma」はラテン語で「2つに分かれた」という意味です。夏のはじめに薄紫色の花が咲き、秋になるとたれた枝の先に、紫色の果実をつけます。果実を鳥が好んで食べることから、種子の散布ともなっています。 コムラサキは、日本、朝鮮半島、中国原産であることから、古くから日本や中国で栽培されていた可能性が高いです。また、コムラサキは、果実の見た目がよく、鳥に好まれることから、庭園樹として栽培されたことも考えられるでしょう。 コムラサキ（Callicarpa dichotoma）は、日本、朝鮮半島、中国を原産としている植物で、初夏になると小さめの薄紫色の花をたくさんつけます。また、秋になると垂れた枝に紫色の小球形の果実をつけるのも特徴で、果実は、鳥の好物となっています。 葉は楕円の形をしており、葉のフチがのこぎり型になっているのも特徴といえるでしょう。また、コムラサキの花はムラサキシキブとも似ており、庭でムラサキシキブが発見されたというケースでは、実際にはコムラサキであることが多いです。また、別の品種として、シロシキブ（白式部）もあります。 コムラサキは落葉低木で、高さは2〜3m程度であることが一般的です。枝垂れしており、家庭の庭先で育てられることも多くなっています。また、コムラサキの果実が美しいため、観賞用として栽培されることも少なくありません。果実には、健康に良いとされるポリフェノールやアントシアニンが含まれており、葉や枝には、抗酸化作用や抗炎症作用があることから、漢方薬ともなっています。

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）は、美しい果実や花を実らせることから、「美しい思い出」が花言葉とされています。そのため、特に結婚式や記念日の贈り物としてもふさわしいといえるでしょう。

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）の成長期には、土壌が乾燥しないように、適度に水を与える必要があります。気温や湿度、土壌の状態によって異なりますが、土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えます。 特に、夏場は水分が不足しがちなため、こまめな水やりが必要です。ただし、水をたくさん与えすぎると根腐れを起こすことがあるため、過剰な水やりは避ける必要があります。

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）は、土が肥えておりで排水性の良い土壌を好みます。また、日当たりが良く、風通しの良い場所に植えることが望ましいです。 コムラサキは、鉄分を必要とするため、鉄分が不足している場合は、鉄分を含む肥料を与えることが望ましいです。さらに、コムラサキは、酸性土壌を好むため、土壌がアルカリ性の場合は、硫黄を含む肥料を与えることで、土壌の酸性度を調整することができます。

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）は、耐寒性・耐暑性が共に優れた植物のため、日本の冬や夏にも耐えられる植物です。 栽培する際は、15℃～25℃の間の環境を保つのがおすすめで、この範囲内であればより良い成長が期待できます。耐寒性はあるものの低くとも5℃以上が理想的です。 夏場は直射日光を当てると高温になりすぎるため、温度管理のために、日陰を利用したり風通しの良い場所に植えることが効果的です。 冬場は、霜が降りる前に株元に腐葉土やマルチング材を敷くことで、根元の保温が可能です。これにより、寒さによるダメージを軽減できます。 コムラサキ（Callicarpa dichotoma）は、特に耐寒性に優れており、日本に気候に対応できることから特別な手間はかかりません。 夏においては、乾燥に注意しながら適度な水やりを行うことが重要で、日照時間もしっかり確保しましょう。 冬越しの際は、霜が降りる前に枯れた枝や葉を取り除いておくのがポイントで、根元に腐葉土や堆肥を敷いて保温対策を行うと、より安心して越冬させることができます。 コムラサキ（Callicarpa dichotoma）は、日光によく当てて育てるのが望ましく、1日6時間以上の日照時間を確保するのが理想的です。 日照時間が短いと、成長に悪影響を与え、花や果実の発育が悪くなることが考えられます。ただし、日光の当てすぎにも注意が必要で、はやけを防ぐために、真夏は午前中の日光を浴びせ、日陰を作ってやることが大切です。 鉢植えで育てる場合、ベランダや窓辺に置いて日光に当てることが重要ですが、直射日光が強すぎる場合は、遮光ネットやカーテンを利用して調整しましょう。

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）は、冬から春にかけて剪定や切り戻しを行うのが一般的で、この時期に行うことで、翌年の花付きを良くできます。 剪定を行う際は、まず枯れた枝や病気の枝を取り除きます。次に、過密になっている枝を間引くことで、風通しを良くし、日光が届けます。 また、樹形を整える際には、枝の先端を切り戻すと良いでしょう。切り戻しの際は、剪定ばさみを使って、枝の付け根近くで切るのがポイントです。

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）は、​果実が紫色になった秋頃に収穫します。​果実が完全に熟したものを収穫するようにし、日陰で風通しの良い場所に置いて、​乾燥させます。果実が完全に乾ききったら、​保存用の食料となるだけでなく、​果実を煮出して、​ジャムやジュースとして利用することも可能です。​ 植え付け・植え替えを行う際は、​根を傷つけないように注意するだけでなく、​十分に水を与えたうえで、​乾燥させないことが大切です。​コムラサキは、その美しい風情から、​多くの人々に愛されており、​庭植えや鉢植えで利用されています​。

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）を増やす方法として、株分け、挿し木、葉挿しの3種類があります。春や秋二実施する際は、株分けという方法を用いることが多く、成熟した株を掘り起こし、根を洗ってから、根を切り分けます。また、株分けを実施する際は、それぞれの株に茎と根があるように分割することが重要で、分けた株は新しい場所に植え、十分に水を与えます。 挿し木も株分けと同様に、春または秋に行います。実際に行う際は、まず健康的な茎の先端を切り取り、葉を取り除いて、水に浸します。この際、腐敗を防ぐために、定期的に水を替えが重要となるでしょう。根が生えたら、新しい場所に植えます。 葉挿しは、春または夏に実施することが多く、健康的な葉を取り、葉柄を切り取ることから始めます。葉を水に浸して、葉脈に沿って切り込みを入れたら、湿った砂に挿して葉脈が下になるよう設置します。砂で葉を覆い、根が生えたら、新たな場所に植え付けます。この時、土が湿った状態を保つのがポイントです。

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）の病気の1である葉枯れ病は、葉の先端から葉全体にかけて枯れていくのが特徴です。また、葉に褐色の斑点が現れることも少なくありません。 葉枯れ病は、環境ストレスが原因であることが多く、主に過湿や過乾燥、栄養不良などが考えられます。この病気を予防するには、適切な量の水や肥料を与えること、風通しの良い場所で育てることが重要です。また、葉が病気になっていると気づいた際には、早急に取り除くことも重要になります。 また、コムラサキには、アブラムシやハダニなどの害虫被害も考えられます。アブラムシは、葉や花に付着し、吸汁して栄養を奪う一方、ハダニは、葉の裏側に付着し、吸汁することで葉を黄色くさせます。 これらの害虫は、早期発見・駆除が重要で、仮に農薬を使用する際は、適切な量を使用しなければなりません。また、害虫の天敵となる虫を利用することも対策の1つとなります。

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）は、人体に対する毒性がほとんどないとされていますが、果実は食用には適していませんので、誤って食べないように注意しましょう。 コムラサキには健康に良い影響を与える成分が含まれています。葉には抗酸化作用があり、健康食品や化粧品に利用されることがあります。 また、民間薬としても利用された過去もあり、葉や茎を煎じて傷の治療や消毒に使われていたそうです。しかし、現代ではその効果が科学的に証明されていないため、医療用途としては推奨されていません。

コムラサキ（Callicarpa dichotoma）と同属であるムラサキシキブ（Callicarpa japonica）においては、果実にはトリテルペン配糖体が含まれており、犬や猫に対して嘔吐、下痢、食欲不振、口内炎、腎臓障害などの症状を引き起こす可能性があるとされています。 そのため、コムラサキを扱う際には十分な注意が必要で、果実を食べさせることは避けるべきです。特に、犬や猫が果実を誤食した場合は、早急に獣医師に相談することが必要です。