キツネアザミ(Hemisteptia lyrata)は、アジアやヨーロッパの草原や山地に自生しています。耐寒性があり、乾燥にも強いため、庭園や花壇に植えられることもありますが、一部地域では帰化植物として繁茂し、在来種の生育を阻害することがありますので、植栽には注意が必要です。 茎は直立し、高さは30-100cm、互生で羽状に深く裂け、縁に鋸歯がある葉が特徴です。開花期は7月から9月で、頭状花序で直径約2cmの黄色い花を咲かせ、花の後に綿毛を持つ痩果ができます。 生薬としても利用されており、その根は「地肺」と呼ばれ、咳止めや去痰作用があるとされています。また、民間療法では、傷の治療や消炎作用にも使われています。 キツネアザミは、主に中央アジアや西アジアの乾燥した草原や砂漠地帯に、起源があるとされています。 希少種として知られており、日本への分布拡大は、渡来植物として人間の活動によってもたらされた可能性が考えられています。 そのほか、学名「Hemisteptia lyrata」は、ギリシャ語で半戴冠の意味を表す「hemistephanos」とラテン語で「竪琴のような」という意味を表す「lyratus」に由来しており、これは、キツネアザミの花が半戴冠状に咲き、葉が竪琴の形をしていることにちなんで名付けられたとされています。
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