リュウキュウエビネ(Calanthe lyroglossa)は、主に日本の南西諸島(沖縄県、奄美群島、八重山列島)や台湾、フィリピンに分布する多年生の草本植物です。山地の林内や林縁、岩場などの湿った場所を好んで生息しています。 花茎の高さは30-60cmで、夏から秋にかけて開花します。花の色は白から淡いピンクで、唇弁には紫の斑点があるのが特徴です。また、側弁は細長く、唇弁は3裂しており、中央裂片が大きく広がっています。 葉は長さ20-40cm、幅3-6cmの披針形で、縁には鋸歯があり、また、根茎は短く、多数の偽球茎が密集しています。 リュウキュウエビネは、その美しい花姿を見るために観賞用として栽培されることもありますが、一般的に野生種は希少とされているため、保護対象となっています。 リュウキュウエビネの学名「Calanthe」は、ギリシャ語で「美しい花」を意味する「kalos」(美しい)と「anthos」(花)が組み合わさったもので、エビネ属の植物が美しい花を持つことに由来しています。また、リュウキュウエビネの花の形状が竪琴の形をした舌に似ていることから「lyre」(竪琴)と「glossa」(舌)を組み合わせ、「lyroglossa」という名がつけられました。 日本語名の「リュウキュウエビネ」は、分布域である琉球列島にちなんで名付けられており、エビネは、花の形状が海老の尾に似ていることに由来しています。リュウキュウエビネは、石灰岩地に生育することが多く、特に沖縄県では、石灰岩地に生育する植物群落の中で重要な役割を果たしています。
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