ヤマハナワラビ(Botrychium multifidum)は湿った土壌や林床に生育するシダ植物門オフィオグロッサム科に属する珍しい植物です。主に日本では北海道から本州の山地に分布しています。また、育地の減少や環境の変化により、現在は絶滅危惧種に指定されています。 ヤマハナワラビには地下茎があり、地上に1つの葉が出るのが特徴的でしょう。葉は2回羽状複葉で緑色の部分が光合成を行い、茎の先端にある黄褐色の部分が胞子を形成しています。 ヤマハナワラビの繁殖は、春から初夏にかけてヤマハナワラビが飛ばす胞子が地面に落ちて発芽し、新たに生まれるようになります。また、ヤマハナワラビは菌類と共生しており、菌類が栄養を供給しています。そのため、光合成だけでは生育が難しい環境でも生き延びることができます。 ヤマハナワラビは、その特徴的な形態と生態から、植物分類学者にとって興味深い研究対象です。 化石記録から、ヤマハナワラビは古くから存在している事が分かります。 ヤマハナワラビの学名「Botrychium」は、ギリシャ語の「botrys(ぶどうの房)」と「chion(雪)」が組み合わさったもので、その形状がぶどうの房に似ていることから名付けられました。また、「multifidum」はラテン語で「多くの分岐がある」という意味があり、葉の形状に由来しています。 和名「ヤマハナワラビ」は、山地に生えるハナワラビという意味で、ヤマハナワラビの生育環境から名付けられました。
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